膀胱尿管逆流は、膀胱が充満したり、排尿したりするときに、膀胱の内圧が高まり、排泄されずに、尿管から腎臓へ向かって尿が逆流する病気です。生まれつき尿管と膀胱の間の尿管口の逆流防止機構が弱い場合に多くみられます。

膀胱尿管逆流は軽度であればあるほど自然消失しやすく、成長するにしたがって改善する場合があります。予防的に抗菌剤を内服しながら、経過を見守ります。外陰部を清潔に保ち、適切な排尿・排便方法を身につけることが大切です。

膀胱尿管逆流があると、外界から膀胱内に細菌が侵入し、腎盂腎炎(じんうじんえん)という腎臓の炎症を起こしやすくなります。急性の腎盂腎炎は高熱を発し、重症あるいは、速やかに抗生物質による治療が始まらない場合は、腎実質(腎組織)を破壊し腎瘢痕(はんこん:傷)を残します。慢性腎盂炎は将来腎機能が低下したり、高血圧が発症したりすることがあります。腎盂腎炎を併発しない生活の配慮が必要です。

尿路感染をしばしば起こすような場合や自然に治癒が考えられない場合は、逆流を治す手術が必要になります。

高度の逆流があるときは生まれつきの腎実質の形成不良(異形成腎)があり、これに腎盂腎炎による腎瘢痕が合併すると重い腎機能障害が残ります。この場合は、長期にわたる定期的な観察が必要になります。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 乳幼児期は外尿道口が排便で汚染しやすいので、おむつを交換するときはシャワーやベビーバスで洗い流すようにしましょう。
  • 排尿が自分でできるようになった子どもでは、2時間以上3時間以内のタイミングで排尿できるように誘導しましょう。
  • 排便回数が少なかったり(週3回未満)、便がころころ、ごつごつして固かったりする場合は便秘の治療をしましょう。