膀胱損傷は、交通事故や落下などで骨盤骨折を起こしたときに生じやすい損傷です。骨盤骨折がなくても、膀胱充満時に下腹部に強い圧迫を受けると損傷することがあります。その他、切り傷や医原性(治療行為)が原因で起きることもあります。

症状としては、下腹部痛、下腹部の圧痛、排尿困難、肉眼的・顕微鏡的血尿などがあげられます。

頻度は腹部外傷の1.6%程度です。70~97%は骨盤骨折を伴います。逆に、骨盤骨折の5~10%程度に膀胱損傷が見られます。

症歴と症状から膀胱損傷が疑われれば、直ちに入院して、画像診断を行った後、治療を行います。

治療は、膀胱の損傷のみで、尿が腹膜外に流れていて、患者さんの状態がよければ尿道に留置カテーテルを入れて、経過観察とします。

尿が腹膜外に流れていても膀胱損傷以外に臓器の損傷が疑われれば、手術を行い、膀胱の修復と破損臓器の修復を行います。

膀胱損傷の原因が、切り創の場合や、尿が腹膜内に流れ出るようなら、直ちに手術を行います。