陰のう水腫は、精巣の周りにある精巣固有鞘膜(せいそうこゆうしょうまく)と呼ばれる袋状のものに体液がたまって、陰のうが腫れる病気です。大きくふくらんだり、左右の大きさが違ったりします。あらゆる年齢の男子にみられますが、特に多いのが乳幼児とお年寄りです。

原因は、乳幼児の場合は、精巣が陰のう内に下りるときに、ふつうは腹膜の一部が精巣にくっついて精巣固有漿膜として閉じますが、それが閉じないことにあります。そのために腹腔内と通じて体液が入ってたまります。しかし、成人の場合は、漿膜が閉じる閉じないではなく、炎症や外傷、腫瘍などが原因で起こります。

陰のうが腫れても、それ自体による痛みなどの症状はほとんどありません。しかし、陰のう水腫が大きくなると動くときに邪魔に感じたり、生活に支障をきたしたり、不快に感じることがあります。

乳幼児の場合は生後1~2年の間に自然に消えることがあるので経過を観察します。3歳まで待っても水腫が消えない場合や、鼠径ヘルニアを合併している場合、水腫が大きい場合は全身麻酔下で鞘膜を切除する手術を行うことがあります。

成人の場合は、定期的にたまった体液を注射器で抜いたり腰椎麻酔下で鞘膜を切除する手術を行ったりします。

陰のう水腫の大きさに注意しながら、定期的に触診や超音波検査を行いながら経過を観察します。

突然、陰のう水腫が大きくなったり、痛みや発熱がみられたりしたときは、夜中でも緊急受診しましょう。サイズの増大が比較的急な場合も、再診日を繰り上げて受診しましょう。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 陰のうの大きさに注意しましょう。