乳房パジェット病は、乳がんが乳管を通って広がり、乳頭や乳輪の皮膚まで到達した状態です。乳頭に湿疹様のただれを起こします。この湿疹がなかなか治りきらない場合に、乳房パジェット病が疑われます。乳がんの1~2%を占めます。

症状は、ただれ以外にはかゆみや痛み、かさぶたや出血を伴うことがあります。

両方の乳輪を中心に湿疹があるときは、乳房パジェットではなく接触性皮膚炎が疑われます。

乳房パジェット病の場合、多くは乳房内に原因となる乳がんがあります。

検査では、乳頭部に悪い細胞がないかを調べます。ついで、マンモグラフィや超音波で乳房内の病変を調べ、乳房内に所見があれば針を刺して細胞や組織を採って検査します。

乳がんと診断がついたところで、乳房内のがんの広がりを調べるためにMRIを撮り、さらにリンパ節や肺、肝臓、骨などにがんが広がっていないかを検査します。

治療は基本的には手術を行います。手術には乳房部分切除術と乳房切除術があります。いずれも乳頭は切除しなければなりません。どちらにするかは病変の広がりにより決めます。さらに脇のリンパ節に転移があれば、周りの脂肪もまとめて切除します。事前に転移が確認されない場合は手術中に調べて対応します。

術後の治療は病理検査をみて決めます。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 組織検査、生検などで出血することがありますが、ガーゼで保護し、強くこすらないようにしましょう。
  • 検査後の入浴は普段通りで構いません。
  • 診断結果が判明するまでは妊娠は避けましょう。