乳房内の乳腺は乳汁を分泌する小葉(しょうよう)と、小葉から乳頭までを結ぶ乳管とから成ります。乳がんは乳管や小葉の内腔にできるがんです。

浸潤性乳がんは、がん細胞が乳管や小葉を破って外に出ているものをいいます。

浸潤性乳がんが広がると周囲の組織のリンパ管を通って腋窩(えきか)リンパ節に転移し、さらに肺、肝臓、骨などに転移することがあります。

検査は、マンモグラフィと超音波検査をし、さらに腫瘍に針を刺してがん細胞の有無を調べます。

乳がんと診断が出たら、MRI 検査で病変の広がりを調べます。必要に応じて超音波検査を行い、腋窩リンパ節の腫れ(腫大)などを調べます。

治療は手術、放射線治療、内分泌治療、抗がん剤治療があります。病気の性質や程度に応じて選択します。

術後の合併症に注意しましょう。

  • 創(きず)の下に水がたまることがあります。外来を受診して水を抜きます。
  • 創部分の皮膚の知覚が低下します。腋窩リンパ節をすっかり取り除いたときは(廓清:かくせい)、創部から背部、上腕の内側の皮膚の知覚が低下します。徐々に改善しますが、時に異常感覚が残ることがあります。
  • 腋窩リンパ節廓清により、脇にリンパ液がうっ滞し腕がむくむことがあります。むくみを解消するために、皮膚を清潔に保ち、保湿を心がけ、ケガに注意しましょう。衣類は袖や腕まわりがきついものは避け、長時間腕を使い続けるのもやめましょう。太りすぎにも注意しましょう。
  • 腕や肩の運動障害を残さないよう、リハビリを行いましょう。
  • 創部分が赤くなったり熱が出たりしたときは、外来に連絡しましょう。