境界型パーソナリティ障害とは、親や恋人など自分にとって重要な人との些細なストレスを契機に、情緒不安定、衝動的な自己破壊行動、自殺の脅しなどを繰り返す心の障害で、自分ではコントロールできないと感じています。

心の中のむなしさを埋めるために、アルコールや薬物の乱用・依存に走る場合もあります。

米国では有病率は人口の約2%とされ、その約70%が女性です。日本でも同じような傾向がみられます。

予後に関しては、米国の10~15年の予後調査では、患者の約80%以上が中等度以上の改善を示しています。

他の精神疾患との鑑別をするために、気分の変動に周期性はないか、月経周期との関連はないか、幻覚や妄想は一過性のものか、状況から他人が理解できる範囲の症状かを調べます。

治療には補助的に薬物療法を行います。猜疑心や認知や幻聴、衝動性のコントロール、気分の変動などの解消に有効です。

自分自身の心理的な問題に動機を求める傾向が強い場合は、認知行動療法や精神力動的精神療法などが有効です。

アルコールや薬物の濫用・依存、摂食障害などが見られるときは並行してそれらの治療も行います。

「死にたい」気持ちが強くなり、飛び降り・縊死などを考えるようになったら入院が必要です。

誰かを身体的に「傷つけたい・殺したい」という気持ちが高まったときも、それを止める方法を話し合う必要があります。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 薬を過量服用するときは、誰かに薬の管理を頼むか、通院間隔を短くしましょう。
  • 学業や仕事はなるべく続け、自宅に閉じこもりがちな場合はデイケアや作業所を活用し、社会との接点を維持しましょう。