アルコール依存症は、単に酒癖が悪いだけでなく、飲酒する時や状況、飲酒量などをコントロールできない状態になっている病気です。

家族や知人などが依存症者の飲酒問題を注意すると、多くの場合、否認したり反発することが多いようです。そのため“否認の病気”と呼ばれることがあります。

治療をせずに放置すると、肝機能障害や糖尿病などの身体的な問題、うつ病や認知機能障害などの精神的な問題、家族関係の不和や職場などでのトラブルなどの社会的問題を引き起こします。依存症者本人の飲酒行動が改善すれば、同時にこれらの問題も改善されていきます。

過度の飲酒が長期間続いたことにより、脳機能の変化などが生じ、飲酒をコントロールすることができなくなっています。

治療は、原則的に入院して開始します。一般的な入院期間は2~3カ月です。仕事をしている場合には休職の検討が必要になります。

退院後は通常、2週間に1回程度のペースで通院します。一定のペースを守って通院すると、状態が安定していきます。

断酒を継続し、再発を予防するために、抗酒薬を処方されることがあります。服用すると、酒が飲めない体質を一時的につくりだすことができます。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 規則正しい生活を心がけましょう。
  • 適度な運動を行いましょう。
  • 治療がどんな順調に進んでいても、少しでも酒を飲めばアルコール依存症は容易に再発します。断酒直後でも、数年経過していてもそれは同じです。たとえ誘惑に負けて飲酒してしまっても、諦めずに治療を続けることが大切です。
  • 自助グループに参加することにより連帯感が生じ、精神的支えとなって断酒を継続しやすくなります。