麻薬は依存性が強く、乱用することによって身体的・精神的な障害を生じる薬物です。麻薬が鎮痛・鎮静の目的で使用されるときは、用法・用量を守る必要があります。

ヘロイン、モルヒネ、アヘンなどによるオピオイド中毒は意識障害や呼吸抑制をきたして死に至ることがあります。

コカイン中毒は、血圧が非常に高くなり、すぐに降圧治療をしないと脳や心臓などに大きな影響を与える高血圧緊急症や心筋梗塞を起こし、死に至ることがあります。またコカインは胎盤や乳汁に移行することがあり、胎児や乳児の発達に影響することがあります。

治療のための麻薬処方で意識が朦朧とするなどの中毒を生じたときは、量の調整が必要です。処方した担当医に相談しましょう。

オピオイド中毒で、呼吸抑制が認められるときは、拮抗して作用する薬のナロキソンを投与、症状が軽快しても、3~4時間の経過観察が必要です。

コカイン中毒で、高体温、高血圧緊急症、不整脈などがある場合は、体を冷やし、興奮を抑制するベンゾジアゼピンを投与し、血圧をコントロールし、不整脈の治療を行います。胸痛がある場合は、心筋梗塞などを合併している可能性があり、精密検査を行います。

急性中毒の治療後は、薬物依存を断ち切り、再発を防止するためにカウンセリングなどの精神科的治療を行います。