ガス中毒は家庭では暖房器具・湯沸し器などの不完全燃焼から発生します。工場などでは爆発性のガスにより発生することもあります。

ガス中毒の原因物質は多岐にわたります。無臭・無刺激であっても毒性が強く、数日が経過してから呼吸苦などの症状を起こすガスもあります。

一酸化炭素中毒では数週間の経過で神経精神症状を来すことがあり、これを遅延性脳症といいます。

遅延性脳症の症状には、集中力・学習能力・社会適応の障害、うつ状態、記銘力障害のほか、重症になると精神病障害、認知障害、震えや動きの鈍さを伴うパーキンソン症候群などがあります。

急性期の治療の基本は、酸素投与です。大量の酸素を投与することによって、体内の一酸化炭素を追い払います。

遅れて呼吸不全を起こすようなときは、呼吸状態に応じて、動脈血液ガス、画像検査を1日1回は行い、治療につなげます。

遅発性脳症は、今のところ根本的な治療法はありません。早期に発見して対症療法を行います。

自宅で中毒が発生した場合で、曝露源がはっきりしないときは、同居家族や近隣住民に被害が拡大しないように、疑わしい器具を点検する必要があります。

工場などで発生した場合は火気厳禁とし、再発防止、被害拡大防止措置をとります。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 息苦しさが悪化していないか、咳や喘鳴が出現していないかをチェックしましょう。
  • 精神状態が不安定になったら、我慢しないで専門医に相談しましょう。