頭部に大きな傷を負ったときは、すぐに救急車を手配し、救急外来か脳神経外科を受診します。

頭は頭蓋骨という固い殻で守られているため頭蓋内に出血を起こすと、腹部などとは異なり、圧の逃げ場がなくなり、正常な脳組織が圧迫されて排出し、損傷を受けます。

出血などにより破壊された脳組織は元には戻りません。出血を放置すれば脳内の腫れが進み、脳組織への圧迫が強まるという悪循環を繰り返します。

救命のために開頭血腫除去術が必要になります。深いこん睡状態にあり、脳幹の反射がない患者さんは手術もできないことがあります。

病院では、CT検査を行い、治療法を決めます。治療には薬物療法と手術療法があります。副作用や合併症を考慮しながら治療法を選択します。

ベッド上では安静が求められます。そのため、誤嚥(えんげ)性肺炎や肺血栓塞栓症(はいけっせんそくせんしょう)の危険性が高まります。その予防を行いますが、救命が困難になることもあります。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 頭を強打して、増強する頭痛、吐き気・嘔吐、意識低下、けいれん、麻痺などがあるときや、いつもと様子がおかしいときはすぐに受診しましょう。
  • 特に6時間以内は上記の症状に注意しましょう。丸1日は様子を見ましょう。
  • 1~3カ月は脳と脳を取り巻く膜の間に血液がたまる慢性硬膜下血腫が発症することがあります。上記の症状がみられたら受診し、頭を強打したことを医師に伝えてください。