安静時脈拍数が1分間50以下を徐脈といい、主な原因に、洞不全症候群と房室ブロック、徐脈性心房細動があります。

洞不全症候群による徐脈は、心臓のリズムをつくり出す洞結節の機能が低下して生じます。脈拍が1分間に50以下の単純徐脈のほか、一過性の心停止が起きるもの、心房細動も加わり数秒にわたる心停止が生じる重症のものがあります。高齢になるにしたがって悪化しますが、完全に心臓が止まることはありません。

房室ブロックによる徐脈は、心房と心室をつなぐ電気の通り道の房室結節が機能低下して起こります。この場合の問題は突然死のリスクがあることです。

徐脈性心房細動は、本来、心房細動で頻脈となる房室結節が機能低下に陥ることによって極端な徐脈が起きます。心臓が止まることはありませんが、失神や心不全の症状が起こります。

どの場合も、失神や心不全などの症状が認められるときには、ペースメーカーの埋め込みの適応になります。

ペースメーカーを埋め込んだ場合、空港や店の金属探知機を通過しないように気をつけましょう(係員にペースメーカー手帳をお見せください)。また、近年ではMRI検査を受けることが可能な機種もあるので、MRI検査の必要がある場合には担当医に相談してみましょう。

ペースメーカーは、半年に1度、ペースメーカー外来で、電池の消耗具合や、心臓とつなぐリード線の不全の有無を確認します。通常、約10年に1回、本体を交換します。

ペースメーカーを埋め込んでいない場合は、年に1度、24時間持続的にみるホルター心電図やランニング器具を使ったトレッドミル負荷試験などでチェックします。失神、ふらつき、足のむくみなどが生じたときは受診しましょう。