下肢静脈怒張は、下肢の皮膚表面近くにある静脈に何らかの理由で負担がかかり、静脈が広がり、ときに膨らんで目立つ状態をいいます。

原因として、皮下浅いところにある静脈の逆流防止弁が不具合を起こす下肢静脈瘤、エコノミークラス症候群として知られる、皮下深くにある静脈に血栓ができる深部静脈血栓症が考えられます。

下肢静脈瘤による下肢静脈怒張は、立ち仕事や重いものを運ぶ仕事、加齢、肥満、妊娠、家族歴などが関係します。

検査は、下肢静脈超音波検査を行い、血栓の有無、静脈の逆流などを調べます。検査によって、深部静脈血栓症か下肢静脈瘤か、またはその両方によるかなど原因がはっきりします。

深部静脈血栓症の場合、膝から上の深部静脈に新しい不安定な血栓がみられるときは、命にかかわる可能性もある肺動脈血栓塞栓症を予防するために、すぐに入院して治療を開始します。

膝より下の場合は、弾性ストッキングや弾性包帯で圧迫療法を行い、場合によっては抗凝固薬を内服して、多くの場合、通院しながら治療します。

下肢静脈瘤の場合は、放っておくと色素沈着を起こしたり、血栓や潰瘍ができたりすることがあるのできちんと治療します。最初は圧迫療法を行い、経過をみながら、必要なら外科手術で静脈を抜去するストリッピング手術やカテーテル手術である血管内レーザー焼灼術を選択します。