拍動性腫瘤(はくどうせいしゅりゅう)は、腹部(おへその下周辺)や大腿・膝窩(膝の後ろのくぼんだ部分)にドキドキする腫瘤に触れる病気です。

腹部大動脈瘤は、動脈が通常の1.5倍以上、3.0cmより太くなっている場合をいいます。通常腎臓への動脈の下側が拡張します。

動脈瘤は症状がなく、他の検査で見つかることがほとんどです。破裂してから動脈瘤に気がつくこともあります。

動脈瘤が5cm以下で破裂するのはまれですが、破裂の可能性は、5~6cm未満で25%、6以上7cm未満で35%、7cm以上で75%です。破裂すると大量の出血があり命にかかわります。

大腿・膝窩動脈瘤で問題になるのは、動脈瘤が血栓で閉塞したり、壁についている血栓が飛んで発生する脚の虚血です。数時間以内に治療し血行が再開させなければなりません。

動脈瘤が5cm以上の場合が治療の対象になります。また、動脈瘤の形状や感染が疑われる場合、痛みを伴う場合などは5cm以下でも治療の対象になります。

治療には、腹部を切開して、大動脈瘤を人工血管に置き換える方法、鼠蹊部を切開して大腿動脈から動脈内を通してステントグラフトを入れ、動脈瘤に血液が流れないように分離させる方法の2つがあります。瘤(こぶ)や血管の状態から治療法を選択します。

治療の必要がない場合でも将来は動脈瘤が拡大する恐れがあるので定期的に受診しましょう。

腹部大動脈瘤の拡大と破裂の大きな原因の一つに喫煙があります。動脈瘤の拡大、破裂予防には禁煙が非常に大事です。高血圧がある場合は、その治療も必要です。

大腿・膝窩動脈瘤の場合は、足の虚血などに見られるような急性動脈閉塞の危険性があるので入院して治療します。