片麻痺は、脳から脊髄に至る運動を司る神経が障害を受けることで生じます。

突然、片麻痺が生じたときは、脳卒中により、脳の血管が詰まったり破れたりしていると考えられます。脳卒中以外では、ウイルス感染による脳炎、腫瘍、てんかんなどが片麻痺の原因と考えられます。

原因を調べるために、脳卒中を調べる脳CT検査、脳MRI検査、脳炎やてんかんをチェックする血液検査、髄液検査、脳波検査などを行い、診断をつけます。

診断がついたら、それぞれの病気に応じた治療が行われます。

治療により運動機能が回復するかどうか、またその経過は原因疾患により異なります。たとえば脳卒中の場合、運動機能回復は最初の3カ月がピークです。発症直後からリハビリテーションを開始すれば、この間に、ある程度の回復が望めます。

脳梗塞では、発症4.5時間以内であれば血栓溶解薬の投与、それ以上時間がたっているときにはカテーテル治療により血栓(血の塊)を取り除いたりします。脳出血では、降圧薬の投与とともに外科的な治療が検討されます。

ウイルス性脳炎など神経感染症などに伴う片麻痺の場合は、抗ウイルス薬の投与やステロイド短期大量静注療法を行い、病気の進行を阻止します。

脳腫瘍の治療は、種類や進行度により異なります。手術で摘出することが可能なケースもあります。

脳片麻痺による運動麻痺が一定期間続くと手足の関節が固くなる拘縮(こうしゅく)がみられることがあります。この場合も発症早期からリハビリテーションを行うことによって拘縮を予防できます。

運動機能が回復したところでの動作のこわばりの軽減には、経口薬やボツリヌス毒素の局所注射が有効です。