対麻痺とは通常、左右両方の下肢の筋力が低下して、歩行困難の症状が現れる状態をいいます。ただし、家族性痙制対まひというように病名に用いられることもあります。

合併症状として、しびれや排尿・排便障害などもみられることがあります。

脊髄の損傷により起こることが多いですが、例外的に大脳や末梢神経の障害で起こることもあります。

検査は、病歴の聴取、神経診察のほか、脊椎MRIなどの画像検査を行い、手術の判断をします。内科的原因の場合はさらに特殊な血液検査、腰椎穿刺(腰部に針を刺し髄液を採取して調べる検査)、脳脊髄液検査などを行います。脊椎MRIに病変がないときは電気生理検査や脳MRIなどを行います。

手術が必要になる外科的原因の病気として、脊椎疾患、脊髄外傷、脊髄出血、脊髄腫瘍、脊髄空洞症などがあげられます。

薬物療法を中心とする内科的原因には、各種脊髄炎、HTLV‐1関連脊髄症(ヒトTリンパ球向性ウイルス1型の感染症)、視神経脊髄症、多発性硬化症、ビタミンB12欠乏症、家族性痙性対麻痺などがあげられます。

脊髄の腫脹が認められる場合は、原因の追及と並行して、ステロイド大量静注療法が行われます。その他の治療は疾患ごとに異なります。

急性、または亜急性の歩行不能の場合は緊急入院して治療します。歩行が可能な場合は外来で検査を行いますが、日常生活での転倒に注意しましょう。

治療効果と薬の副作用に関しては率直に担当医と話し合いましょう。

一定の治療後に、後遺症が出たり再発したりすることがあります。その場合は速やかに受診しましょう。

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