顔面筋の麻痺を招く疾患には、末梢神経が障害される末梢性顔面神経麻痺と、頭蓋内に病変がある中枢性顔面神経麻痺があります。
末梢性神経麻痺の代表が、ベル麻痺とラムゼイハント症候群です。ベル麻痺はヘルペスウイルス、ラムゼイハント症候群は帯状疱疹ウイルスが、ストレスや疲労などで免疫が低下したのを契機に再活性化し、神経の炎症やむくみを起こして麻痺を招きます。
ラムゼイハント症候群は顔面麻痺以外に、口腔内や舌、外耳道の水泡、耳の痛み、耳鳴りや難聴、めまいなどを伴うことがあります。
中枢性顔面神経麻痺は専門医の診察を受けましょう。頭部CTやMRIで検査し、脳血管障害や神経の髄鞘が脱落する脱髄疾患の場合は、入院して直ちに治療を行います。
ベル麻痺は7割以上が後遺症を残さずに自然に治癒します。麻痺が軽くない場合は薬を内服します。
ラムゼイハント症候群は、約40%が自然に治癒します。治療には抗ウイルス薬、副腎皮質ホルモンを内服します。
顔面麻痺の後遺症が残りやすいのは、治療が遅れた場合や高齢の場合、高血圧症や糖尿病を合併している場合などです。
診察後、3~4日後に再受診して薬の量などを確かめます。その後1~2週間後に麻痺の評価をします。軽快しない場合は追加の検査をすることがあります。