項部とは、“うなじ”のことを指します。したがって項部硬直は、うなじが硬くなっている状態をいいます。

髄膜炎やくも膜下出血などで髄膜が刺激されたときに現れる症状の一つです。

仰向けの状態にある人の項部に手を当てて頭を持ち上げようとしたとき、項部硬直があると、頭部と胸部が一緒に持ち上がります。

さまざまな検査により、原因疾患が診断されます。

頭部CT検査は、ほとんどの急性期くも膜下出血の診断が可能です。しかし、くも膜下出血の場合、発症から時間が経つと出血が周辺組織に吸収されるため、診断が難しくなります。髄膜炎は、頭部CT検査で特徴的な所見は現れません。

腰椎に針を刺し入れ髄液を採取する検査が腰椎穿刺です。髄液中に、細胞(赤血球と白血球)が増えていたり、タンパク量が多い場合は、髄膜炎が疑われます。通常の髄液は無色透明ですが、赤く色づいていたり(血性髄液)、黄褐色をしている(キサントクロミー)場合は、くも膜下出血の可能性があります。なお、腰椎穿刺の際に近くの血管に針が当たってしまい、髄液にそこからの血液が混入することがあります(トラウマチック・タップ)。この場合は、時間とともに赤色が徐々に薄くなることから判定できます。

発熱があり、血液検査でCRP*の増加が認められるときは髄膜炎が疑われます。ただし、くも膜下出血でもCRPが増加することがあります。

CRP:炎症や組織細胞の破壊が起きると血清中に増加するたんぱく質のこと

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