溶血・ヘモグロビン血症とは、赤血球が体の中で破壊されて、貧血になる病気です。日本ではまれな病気で、100万人に数人の発症といわれます。
先天性と後天性の場合があります。
先天性の場合は、両親から受け継いだ遺伝子に異常が認められる可能性があります。
後天性、特に自己免疫性の場合、原因は、免疫機構の異常のために赤血球に対する抗体ができ、抗体がくっついた赤血球が主に脾臓で壊されて発症します。
貧血の程度はさまざまですが、ヘモグロビン値が7g/dL以下になると輸血が必要になります。
先天性の場合、軽度の貧血の場合は3~6カ月に1度程度の定期的血液検査により経過を観察することがあります。貧血が進行すれば輸血が必要になります。輸血が定期的に必要な状態になれば脾臓を摘出します。それによって貧血がよくなることがあります。
定期的輸血は体内に鉄を蓄積させることになり、心臓や肝臓の機能が落ちるので、余分な鉄を取り除く鉄キレート剤を服用します。
後天性の自己免疫性の場合は、ステロイド剤を内服します。溶血が治まり貧血が改善したら徐々にステロイド剤を減らします。ステロイド剤を減らして貧血が増悪するときは免疫抑制剤を内服します。それでも不十分なときは脾臓を摘出します。
かぜなどのウイルス感染により貧血が増悪することがあるので注意しましょう。