尿閉は、排尿が全くできないか、排尿をした後に残尿が多く、膀胱が大きく膨らんだ状態をいいます。

尿閉の原因はさまざまです。前立腺肥大で、もともと尿の出が悪いうえに大量に飲酒したり、尿意を我慢したり、尿の出を悪化させる成分を含んだ薬を摂取したりして、尿閉を生じさせることもあります。

急に尿閉になった場合には、尿意があっても少量の排尿があるだけで、ずっと残尿感が続き、膀胱の痛みも伴います。

慢性的な尿閉の場合には、少しずつ残尿が多くなり、ゆっくりと膀胱のふくらみが進行します。そのため、排尿後の残尿感や膀胱の痛みなどははっきりしません。膀胱にこれ以上、尿をためられなくなると尿がもれ、頻尿の症状が現れます。

尿閉の治療は泌尿器科で行います。すぐに泌尿器科を受診できない場合は、尿道からカテーテルを入れて尿を排出し、つらい症状を緩和します。

尿閉により、膀胱内に尿がたくさんたまると、尿中の細菌が増え、尿路感染症を起こしやすくなります。発熱、腎臓や膀胱の痛み、頻尿、血尿などの症状があればすぐに受診しましょう。尿検査や血液検査により尿路感染が疑われれば、抗菌薬を処方し、同時に膀胱内の尿を体外に排出する処置を行います。

尿閉により膀胱が伸展し膀胱内の圧が上昇すると、腎臓でつくられた尿が膀胱に流れにくくなります。尿の通り道も拡張し、腎臓の機能が低下して体内に水分や老廃物がたまります。この場合は、膀胱内にカテーテルを入れて排尿をスムーズにします。そのためには十分な水分と電解質の補給が必要です。