小児の斜視は現れる方向によって大きく内斜視(寄り目)と外斜視(はずれ目)に分けられます。

内斜視の場合、寄っているほうの目は使っていません。その状態が続くと両目で物を見る機能(立体視)が育ちません。いつも決まったほうの目が寄っている場合は、弱視の可能性もあります。視力や両目で見る機能は8歳ころまでしか育ちません。そのため、早急に治療を行う必要があります。先天内斜視では生後1年をめどに、それ以外の内斜視では眼鏡で矯正するなどしながら修学前後で手術計画を立てます。

外斜視の場合、近くを見たときに斜視が治まる場合は両眼の機能は育っている可能性が高く、急いで治療を行う必要はありません。しかし、近くを見ても改善が見られない場合は、手術によって治療します。

成人の斜視の代表は、眼球を動かしても斜視の角度が変わらない共同性斜視と眼筋の麻痺によって生じる成人麻痺性斜視です。共同性斜視の治療法にはプリズム眼鏡による矯正や眼精疲労を取り除いたり、外見の改善を目的とした手術があります。

成人麻痺性斜視は原因疾患によって治療法が異なります。眼運動神経麻痺の約80%は自然に治ります。手術は基本的に、約半年間の眼位の安定を確認して行われます。動脈瘤による動目神経麻痺と全身型重症筋無力症の場合は、緊急に治療を行う必要があります。

小児の場合は、定期的に視力・眼位・両眼視機能の検査を行い、年齢相応に立体的に物を見えるか経過をみます。

成人の場合は、採血をして原因疾患を調べます。頭部MRIを行い、頭蓋骨内に病変がないかを確認するとともに、外眼筋に炎症や肥大がないかをチェックします。

小児の場合、立体的に物が見られない場合は再受診が必要です。外斜視で立体的に物が見られない場合は手術の適応となり、入院して手術を受ける必要があります。

成人の場合、ステロイドパルス治療を行う場合は、免疫力が低下しウイルスや細菌に感染しやすいため、入院治療をお勧めします。全身麻酔の場合は基本的に入院が必要ですが、局所麻酔の場合は日帰りでも可能です。痛みを緩和するために術前に筋肉注射を行う場合は、1泊2日の入院をお勧めします。