肝臓は、体内に食物としてとり入れた物質を代謝したり、必要な物質を貯蔵したり、有毒物を解毒するなど、重要な働きをしています。

肝機能検査の数値の異常には、アミノ酸の代謝に使われる酵素の肝逸脱酵素(AST・ALT)の上昇と、胆道の細胞に存在する胆道系酵素(ALP・γ-GTP・LAP)の上昇とがあります。その原因を調べて治療する必要があります。

肝逸脱酵素上昇の原因には、脂肪性肝疾患、ウイルス性肝疾患、薬物性肝障害、アルコール性肝障害、自己免疫性肝炎、急性肝不全・劇症肝炎、サイトメガロウイルス肝炎、EBウイルス肝炎、うっ血性心不全、筋肉障害などが考えられます。

胆道系酵素上昇の原因には、悪性腫瘍、総胆管結石症、胆のう炎・胆管炎、慢性膵炎、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎、薬物性肝障害、IgG4関連胆管炎(免疫グロブリンの一つIgGが血液中に増える自己免疫性胆管炎)などが考えられます。

原因を調べるためにエコー検査のほか、肝逸脱酵素上昇の場合は、肝炎ウイルス検査、自己抗体検査、胆道系酵素上昇の場合はMR胆管膵管造影検査などを行います。

肝逸脱酵素上昇の場合、数値が高いときは、重症肝炎や劇症肝炎に移行する可能性もあり、入院しての治療が必要です。原因が特定できない場合も肝臓の組織をとって顕微鏡で調べる肝生検を行う必要があり入院します。

胆道系酵素上昇の場合、胆管閉塞が明らかなときは、原因除去のために入院して治療を行います。胆管閉塞が明らかではなく、原因が特定できないときは、入院して肝生検を行います。