検診は、対策型検診(住民検診型検診)のように市区町村が主体となって行うものと、任意型検診(人間ドック型検診)のように個人で受けるものに大別されます。

一般に、対策型検診が集団の死亡率を減少させる目的で行うのに対し、任意型検診はそのメリット(利益)とデメリット(不利益)を個人が判断して行います。

検診のメリットとして、がんの早期発見、死亡率減少、がん以外の病変の発見、検査による安心などが挙げられます。

検診のデメリットとして、検査による副作用、精神的・肉体的苦痛、検査が陰性でも100%問題がないとは言い切れないこと、逆に陽性でも100%がんとは言い切れず、さらなる検査が必要なこと、必ずしも死亡率減少が証明されていないこと、時間や費用がかかることなどが挙げられます。

検診は無症状の人が受けるのが基本です。症状がある場合には、検診の検査項目では十分に診断できないことがあります。

検診を受けるのに推奨される年齢があり、青壮年期や老年期では十分な死亡率減少効果を示す検査項目が限られているので、注意が必要です。

対策型検診では一般に次のようにいわれています。

  • 便潜血(グアヤック法1) または免疫法2) による2日法)による大腸がん検診、マンモグラフィーによる乳がん検診は強く推奨されています。
    1) 便中のヘモグロビンを試薬で反応させて青色の発色の有無を見る方法
    2) ヘモグロビンに特異的に反応する試薬を使って検査する方法
  • 胃X線検査による胃がん検診、子宮頸部擦過細胞診による子宮頸がん検診は、おそらく推奨されます。
  • S状結腸鏡、全大腸内視鏡、注腸X線検査による大腸がん検診、胸部X線検査、低線量CTによる肺がん検診、胃内視鏡による胃がん検診、PSA3) 、直腸指診による前立腺がん検診、視触診による乳がん検診は推奨されていません。ただし、患者さんが希望すれば行ってもよいとされています。
  • 直腸指診による大腸がん検診、自己触診による乳がん検診は行わないよう強く推奨されています。
    3) 前立腺に特異的なたんぱく質PSAの値を調べる検査
普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 市区町村で行われる対策型検診を有効に利用しましょう。
  • 任意型検診では、検診のメリットとデメリットについて主治医とよく相談しましょう。
  • 検診で異常が疑われた場合には放置せずに、必ず精密検査を受けましょう。
  • 特に任意型検診では、検診よるメリットとデメリットをよく理解し、むやみに検診を受けないようにしましょう。
  • 症状がある場合、検診ではなく、きちんと検査を受けましょう。

注)青壮年期、高齢者ではスクリーニングの推奨度が下がる場合があります。また、任意型検診を受ける際には医療者側からの適切な情報をもとに、メリットとデメリットのバランスや嗜好を考慮し、個人が判断・納得して受けることが前提なので、推奨度が上がる場合があります。