腫瘍が骨に転移したものを転移性骨腫瘍といいます。原発部位としては、前立腺、乳房、肺、腎蔵、甲状腺、消化器が多く、前立腺と乳房、肺の3つの臓器からの転移が転移性骨腫瘍の約80%を占めます。

転移先の部位は、椎骨、大腿骨、肋骨、胸骨の順に多いです。

症状としては、骨の痛みのほか、高カルシウム血症による吐き気・嘔吐、口の渇き、多飲、多尿、意識障害、脊髄圧迫による下肢のしびれなどがみられます。

予後は原因となるがんによって異なります。たとえば、肺がんで骨転移などの遠隔転移がある場合、1年生存率は約25%といわれます。大腸がんの場合は約40%と報告されています。

検査は、X線検査、CT、MRI、骨シンチグラフィーなどの画像検査を必要に応じて行います。骨転移の由来が不明なときは、骨の組織の一部を採って顕微鏡で調べる生検を行うことがあります。

骨の痛みが強いときには鎮痛剤を使用します。放射線治療を行うこともあります。

骨粗しょう症の治療薬でもあるビスフォスフォネート製剤は、進行を遅らせたり、骨折のリスクを低下させたりする目的で使用します。

骨の痛みがひどい場合や高カルシウム血症を認める場合、椎体骨折による脊髄圧迫症状を認める場合は、入院が必要です。それ以外は定期的な外来受診になります。