心臓にある弁に障害が起き、血液の流れを一方向に維持するという本来の機能を果たせなくなる病気を弁膜症といいます。悪くなった弁の機能を根本的に治すには外科的治療が必要になります。

弁膜症の症状はゆっくりと進行し、自覚症状をあまり感じないこともありますが、手術は早期に受けるほうが術後の経過もよく、機能回復にはよいと考えられています。手術のタイミングが大事です。

手術には人工弁輪を用いて弁やその周辺の形を整える弁形成術と、悪い部分を取り除いて生体弁や機械弁に取り換える弁置換術があります。

手術前の準備

人工弁感染を防ぐために歯科治療をすませ、肺の機能を障害しないようにタバコを中止しましょう。

手術中に使用する血液製剤による輸血を最小限にするために、自己血400~800mlを貯血します。

手術後の対策

抗凝固薬のワーファリンを内服しているときは、易出血性のある納豆、クロレラ、青汁などは避けます。ビタミンKを多く含む野菜も制限します。

運動は医師の指示のもと、少しずつ範囲を広げます。運動中に息切れ、めまいなどが生じたときは運動を中止し、安静にしましょう。

毎日の排便習慣をつけ、便秘が続くときは医師に相談しましょう。

歯科的な処置やその他の外科手術を行うときは、先方に手術後であることを伝え、またその件を主治医に問い合わせます。

発熱したときは受診し、発熱原因を早く特定します。細菌感染が考えられる場合は抗生物質の服用が必要になります。

主治医による薬の指導に従いましょう。内服薬について、その効果と副作用を頭に入れておきましょう。