赤血球破砕症候群は、末端の細い血管に血栓(血の塊)ができて、溶血(赤血球が壊れること)、血小板減少、腎不全などの臓器障害をきたす病態の総称です。

年間の発症頻度は100万人に5人程度のまれな病気です(血栓性血小板減少性紫斑病)。

代表的な原因として、心臓弁の置換手術の血流異常、血栓性血小板減少性紫斑病、血管腫などが挙げられます。

血栓性血小板減少性紫斑病の場合、血漿交換などの適切な治療を行えば、80%以上の人は命が助かりますが、放置すると腎不全や中枢神経障害等を合併し、予後は不良になります。

病状が落ち着いて安定した状態になっても、再発することがあるので、経過を観察することが必要です。

溶血性貧血や血小板減少、急性腎不全をきたす病気と鑑別するために、血液検査で破砕赤血球の有無、免疫グロブリン(抗体)が存在するかどうかを調べるクームス試験、凝固検査異常、自己抗体、血栓性血小板減少性紫斑病の原因となるADAMTS13酵素の活性測定などを行います。

腎機能障害など臓器障害の程度を認識するために、生化学検査、尿検査を行います。頭部CT、MRIなどで中枢神経障害の有無を確認します。感染性腸炎の原因を確認するために便検査を行います。

治療は、血漿交換、補液、輸血などを行います。血栓性血小板減少性紫斑病の場合は免疫抑制療法、溶血性尿毒症症候群では人工透析を行います。

補液、輸血に加え、血漿交換、人工透析、免疫抑制療法などの特殊な治療が必要であること、中枢神経障害や出血などを合併するため、注意深い観察が必要であることなどから入院が必要です。