急性前骨髄球性白血病(APL)は、血液を造る造血幹細胞ががん化する急性骨髄性白血病の一種で、出血しやすいという特徴があります。皮下出血、口腔内出血、女性では過多月経等がみられます。消化管出血、肺出血、脳出血などの臓器出血は、早期死亡の原因となります。

発熱、貧血症状、感染症で発症することがあります。血液検査では約60%に、赤血球、血小板、白血球のどれもが減少する汎血球減少が認められます。また、約25%は白血球が高い値を示します。

治療は、最初にビタミンA活性体である全トランス型レチノイン酸(ATRA)と抗がん薬による化学療法を行い、血液学的な寛解(病状が落ち着いて安定した状態)を目指します。その後は、化学療法によって、遺伝子レベルでの病状の安定化を図ります。ATRAによる維持療法を行う場合もあります。

万一再発した場合は、抗がん作用のある亜ヒ酸によって、もう一度寛解を目指します。その後、自家移植や同種移植を勧める場合もあります。

APL全体の寛解率は約90%、無病生存率(転移や再発がなく生きている状態)は約70%、全生存率は約80%です。

検査は、末梢血液の白血球分画検査により、APL細胞の有無を調べます。

確定検査、治療法の決定には、骨髄穿刺検査による骨髄中のAPL細胞の同定(同一であると見極めること)、染色体検査、細胞表面マーカー検査、各種遺伝子検査等を行います。そのほか、各種凝固検査、感染症のチェック、CT検査、超音波検査などを行います。

症状がない場合も早期診断、早期治療が必要なので、当日入院を強く薦めます。

出血傾向がすでにある場合は、当日入院してください。