原発性マクログロブリン血症(WM)は、まれなBリンパ系造血腫瘍で、多彩な症状を示します。

血液中に腫瘍細胞から産生されるIgMというタンパク質が過剰になることで、血液が粘っこくなり、出血症状、血栓症状などを起こしやすくなります。

貧血による疲労を感じたり、末梢血の循環不足によるレイノー症状(指先が白くなる)、足先や手の痺れや感覚障害(末梢神経障害)などが生じます。また肝腫大、脾腫大、リンパ節腫脹などが生じることもあります。アミロイド物質が沈着することで、腸管の働きが悪くなり、便秘になったり、吸収不良を起こすことがあります。

無症状で、血液データの著しい悪化がない場合は治療をせずに、経過観察のみを行います。

日本では、リツキシマブという抗体製剤、ステロイド剤、アルキル化剤あるいはプリンアナログ誘導体などの抗がん剤の保険適応が認められています。近年、欧米ではさまざまな新しい薬が開発されており、今後はさらに治療の選択肢が増えると考えられます。

診断を確定するためには組織の診断が必要で、骨髄検査、リンパ節生検などが必要です。

病気の広がり、合併症の検査のために全身のCTや、エコーなどの検査が必要です。

末梢神経障害によるしびれ、感覚障害、痛みなどがある場合は、筋電図などの検査を行います。

さまざまな合併症を発症することがあり、眼科、神経内科などの受診が必要となる可能性があります。

皮下出血、口腔内の出血、鼻出血、眼底出血など出血傾向が著しい場合は、過粘稠度症候群という病態が疑われます。緊急に入院し、血漿交換が必要な場合があります。