先天性血友病は、血液凝固第VIII因子、あるいは第IV因子が生まれつき不足している遺伝病です。

重症度は、不足している因子の量(活性)によって、軽症型(1%未満)、中等症型(1~5%)、重症型(5%以上)に分類されます。

さまざまな出血症状を来しますが、関節内出血や筋肉内出血が特徴的です。関節内出血を繰り返すと、血友病関節症という関節の機能障害を起こす合併症を起こします。

出血時の治療の原則は、欠乏している第VIII因子、第IV因子をできるだけ早期に補充して、十分な止血を行うことです。そのため、在宅自己注射(家庭療法)が認められています。

血液凝固因子製剤の使用により、第VIII因子、第IV因子を中和して効果を失わせる物質(インヒビター)ができる場合があります。インヒビターができると、通常の第VIII因子、第IV因子の補充療法では効果がなくなります。

インヒビターができてしまった場合の出血時の治療は、バイパス療法や中和療法が行われます。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 出血時は、安静、冷却、圧迫、挙上(上に挙げる)などを実施し、できるだけ早く血液製剤を投与しましょう。
  • 運動会や遠足などの身体活動の事前に血液製剤の予防投与を行いましょう。
  • 最低3カ月ごとに受診しましょう。
  • 輸注記録票を提出しましょう。
  • 適切な輸注量、輸注方法を守りましょう。
  • 使用した製剤は適切に処理しましょう。
  • 出血症状が強いときや、判断に迷うときは、担当医・医療スタッフに連絡しましょう。
  • アスピリンなどの痛み止めの薬は出血しやすくなるので控えましょう。
  • 兄弟間、姉妹間などで製剤の流用をしてはいけません。