抗がん剤の副作用に下痢があります。消化管の副交感神経が刺激されて、腸の蠕動(ぜんどう)運動が亢進し、下痢を引き起こすのです。特に抗がん剤を投与した当日から2週間くらいに起きることが多いようです。

下痢を起こす抗がん剤としては、肺がんや大腸がんなどに使用されるカンプト、乳がんに用いられるタイケルブやゼローダ、胃がんなどに使うTS-1、白血病の治療薬であるメソトレキセート、消化器系のがんや、子宮がん、乳がんなどに用いる5FUが挙げられます。

排便回数が普通より4〜6回の増加があるときは以下の通り自宅で対応します。

  • 体調が悪いようなら抗がん剤を休薬してもかまいません。
  • 12時間以上、下痢がなくなるまで継続してロペミンを服用し、発熱を伴うなら、さらにクラビット錠も内服します。

排便回数が普通より6回を超えて増加があるときは、以下の対応をするとともに、医療機関を受診することが勧められます。脱水の症状によっては入院して補液(点滴)が必要となります。

  • 普通より3回以内の排便回数の増加に戻るまで抗がん剤を中止します。
  • 24時間以上、下痢がなくなるまでロペミンの服用を継続し、好中球減少を伴う場合や下痢が24時間以上続くなら、さらにクラビット錠の内服も開始します。
  • 酸化マグネシウムなどの便軟化剤や下剤は中止します。
  • 2日以上、下痢が改善しないときは外来に連絡してください。