膜性腎症は、血液から尿をろ過する腎臓の糸球体の毛細血管壁が障害を受け、基底膜と上皮細胞の機能が低下して、これまで漏れることがなかった比較的大きなタンパク質が血液から尿へ漏れる病気です。

症状としては、タンパク尿、浮腫、脂質異常症がみられ、感染症や血栓症を合併しやすくなります。長期経過するうちに生命に危機が及ぶこともあります。

ほとんどの場合は原発性(一次性)ですが、まれに癌やB型肝炎ウイルス感染、膠原病などの基礎疾患による二次性の膜性腎症がみられます。

一次性の場合は70%にネフローゼ症候群を合併します。ただし、その30%は自然に寛解(かんかい)します。

タンパク尿が持続的にみられるときは、疾患の確定と治療選択のために腎生検が必要になります。これは背中から針を刺して腎臓の一部を採り、それを顕微鏡などで調べる検査法です。

治療法の基本は、塩分制限などの食事療法と降圧薬や高脂血症薬などの薬物療法です。

腎生検により膜性腎症と診断されたときはステロイドを中心とした免疫抑制薬を投与します。

腎生検などの検査や免疫抑制薬の治療を始める際には、入院が必要となります。浮腫などの症状が強い場合にも、入院して治療を行います。

悪性腫瘍などの基礎疾患があるときは、原因疾患の治療を優先します。