尿道損傷の多くは、交通事故、産業事故、打撲、スポーツなどによる尿道の外傷が原因です。外傷による損傷はほとんどが男性です。

損傷の程度によって、挫傷(打撲による外傷)、完全断裂、不完全断裂に分類されます。また、損傷部位によって、前部尿道損傷と後部尿道損傷に分かれますが、後部尿道損傷の多くは骨盤骨折を合併しています。多臓器損傷により出血性ショックを生じ、命に関わるようなこともあります。

重症の場合、多臓器損傷を併発していなかを調べるためにX検査を行います。

時に、尿道カテーテルの固定用カフが膨らんだ状態で、自分でカテーテルを抜去して、尿道損傷を起こすこともあります。はさみなどでカテーテルを切断した場合は尿道損傷を起こすことは少ないのですが、代わりに膀胱内異物を生じます。

尿道を傷つけ、尿道から血尿が出るときや排尿がないときはすぐに受診しましょう。尿道造影検査を行い、尿道損傷の部位や程度を診断し、大きな問題がなければ、尿道カテーテルを留置します。尿道損傷がひどい場合には恥骨上膀胱瘻(ちこつじょうぼうこうろう)を増設します。

尿道損傷の程度により尿溢流(尿があふれ出る)により感染症が生じやすい場合には、出血が消え尿道粘膜が再生するまで入院が必要になることがあります。

自己抜去による尿道損傷の場合は、不穏やせん妄など精神的な症状がある場合があり、鎮静や拘束が必要になることもあります。

損傷部は狭窄を生じることもあるので、日々の排尿状態に注意しましょう。