侵襲性アスペルギルス症とは、カビの一種であるアスペルギルスが体内に侵入して起きる感染症です。

アスペルギルスは、土の中や枯れ葉など自然界に広く存在するカビです。呼吸とともに肺に吸い込んでも通常は免疫力で排除することができます。白血病やがん、自己免疫疾患などにより免疫力が低下した患者さんは、このカビを吸い込むと排除することができずに、肺や鼻に侵入します。

一番多い感染臓器は肺で、咳、血痰、胸痛、呼吸困難などが見られます。進行して全身に広がると脳や眼、骨や心臓に菌の塊(菌塊)を作ることもあります。その場合、症状は多岐にわたります。

抗真菌薬を使って治療しますが、治療は数カ月から数年に及びます。抗真菌薬としては、ブイフェンドの内服や点滴、アムビゾームの点滴などが選択されます。

アスペルギルスが肺や副鼻腔、皮膚、消化管など臓器の中に菌塊をつくっているときは手術で取り除くことがあります。心臓や脳に広がった場合には命にかかわることも出てきます。

入院して点滴の抗真菌薬で治療を開始します。また菌塊を切除するために手術を行うこともあります。状態が安定して抗真菌薬が内服できるようなら外来通院も可能です。その場合にも、胸部レントゲンやCT、採血などで少なくとも数週間~1カ月に1回くらいは定期的に検査が必要です。

血痰、発熱、胸痛、息苦しさなどがあるときは、定期検査を待たないで、早めに受診しましょう。