アニサキスの成虫は終宿主のイルカ、クジラ、オットセイなどの胃に寄生しており、その糞が虫卵とともに海中へ排泄され、その後オキアミに食べられ、待機宿主といわれるカツオ、サバ、イカ、イワシ、アジ、タラなどに寄生して2~3cmに成長します。この待機宿主の幼虫を食べたときに起こす感染症を胃アニサキス症といいます。

アニサキスの幼虫が胃壁に潜ると激しい胃痛や吐き気を催します。この症状は2回目以降の再感染のときに強くなります。

アニサキスの幼虫は蕁麻疹の原因とされます。しかし、抗原性のあるアニサキス虫体の分泌物は100℃、15分の加熱処理をしても死滅しません。食事アレルギーの除去・回避は困難です。

胃アニサキスが疑われたときはサバ、イカなどの待機宿主を刺身や半生で食べたかどうかを医師に伝えましょう。

内視鏡で虫体を確認し、これを内視鏡的に除去すれば、速やかに症状は消えます。

比較的症状が軽い場合は、数日もすれば自然に消失することが少なくありません。ただし、症状が数日たっても持続するときは虫体の残存や他の疾患が考えられるので受診しましょう。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 待機宿主といわれる魚を生食するときは鮮度に注意しましょう。アニサキスの幼虫は高温や低温に弱く、60℃なら数秒で、50℃なら15分で、また-20℃なら数時間で死亡します。熱を通すか、生食するときは-20℃で21時間以上冷凍するよう厚生労働省は指導しています。
  • 薬味として使うショウガ、ワサビ、ニンニクなどの殺虫効果は、薬味程度の濃度では期待できません。過信は禁物です。