自己免疫性膵炎は、自分自身の免疫機構の異常により膵臓に炎症が起き、膵臓が腫れる特殊な膵炎です。発症には、IgG4という蛋白質が関係しているとされます。

膵炎のほかに、胆管狭窄、涙腺腫大、唾液腺腫大、リンパ節腫大などのいろいろな病変が合併することがあります。膵臓に腫瘍をつくるので、膵臓がんとの鑑別が必要ですが、鑑別が難しい場合もあります。

膵臓が腫れると胆汁が流れる総胆管を圧迫し、黄疸症状が出やすくなります(閉塞性黄疸)。糖尿病の悪化がみられることもあります。

検査は、鑑別が重要なので、腹部超音波、CT、MRIなどに加えて内視鏡的膵胆管造影を、入院して行います。

治療には、ステロイド薬が効果を発揮します。最初、比較的大量に投与して、その後、徐々に量を減らしていきます。

ステロイド薬を投与しても効果があまり得られないときは、膵臓がんの可能性があるので、再検査が必要になります。

ステロイド薬には消化性潰瘍、骨粗しょう症、糖尿病、易感染症などの副作用があります。医師の指示に従い、毎日決まった時間に決まった量を内服しましょう。

ステロイド薬の減量や中止後に、自己免疫性膵炎が再発することがあるので、ステロイド薬は医師の指示に従い、慎重に徐々に減らしていかなければなりません。

閉塞性黄疸がある場合は、胆道ドレナージという管を挿入して黄疸を除去します。

糖尿病がひどい場合は、インスリンを用いて血糖をコントロールします。

無症状の自己免疫性膵炎では、治療せずに経過を観察することがあります。ただし、病変が進行することもあるので定期的に受診しましょう。