食道上皮性良性腫瘍は、ほかの消化管の良性腫瘍に比べると罹患率の低い病気です。血管腫、線維性血管性ポリープ、腺腫、炎症性線維性ポリープ、乳頭腫などの種類があります。

通常、症状はなく、健診などで発見されることが多い病気です。病気の進行とともに、嚥下(飲み込み)困難感や嚥下時の違和感、貧血などがみられることがあります。

診断は、内視鏡検査と組織の一部を採取して調べる組織診により行われます。

治療方針は、腫瘍の大きさと各組織型により異なります。

血管腫、線維性血管性ポリープ、炎症性線維性ポリープに関しては、症状がみられるときに治療の対象になります。治療は入院により切除手術をします。切除の方法には内視鏡切除と外科切除とがあります。

腺腫の場合は切除手術を行います。ただし、その周りにパレット上皮があるかないかで治療方針も異なってきます。パレット上皮とは胃酸が逆流して、食道の粘膜の扁平上皮が円柱上皮に置き換わったもので、痛みや違和感を生じます。放っておくと、食道腺がんになる確率が高まるとされます。

乳頭腫の場合は、5㎜未満の場合は経過観察、5㎜以上の場合は切除します。経過観察の場合は1年ごとの上部消化管内視鏡検査を受けましょう。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 胃酸の逆流が関係している場合はコレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控えましょう。
  • 肥満の人は痩せましょう。
  • 運動不足を解消し、毎日30分の有酸素運動をしましょう。
  • お酒は控え、禁煙しましょう。