大腸がんは食事の欧米化とともに急激に増加し、現在は横ばいですが、日本では死亡数の第1位、患者数の第3位を占めています。年間の罹患者数は約10万人です。

大腸がんの90%以上が腺がんで、日本人の場合は、S字結腸がんと直腸がんが多くみられます。発症要因としては肥満、加工肉の摂取などが報告されています。

症状は初期にはほとんど認められません。進行すると血便・下血、貧血、腹痛、腹部膨満、腫瘤触知、便の狭小化、頻便、下痢、便秘などがみられます。

検査は、便潜血検査で陽性の場合や自覚症状がある場合には直腸指診が行われます。また、肛門からバリウムと空気を入れる注腸X線検査もよく行われます。確定には大腸内視鏡検査が必要です。診断後は、胸腹部CTや骨盤MRIでがんの広がりを調べます。なお、直腸視診で大腸がんが見つかる確率は、直腸がんの場合は8割程度です。

検査の結果の説明には、可能な限りご家族と一緒に来院してください。

大腸がんを治療しないまま放置すると転移して、命にかかわるようになります。その間、腸閉塞などを併発すると大腸がんの治療はますます困難になります。発見したら早めに治療することが大事です。

治療法には、内視鏡治療、手術、抗がん剤治療、放射線治療があります。治療前は規則正しい生活を送り、過度の運動は避けましょう。