サイトメガロウイルス腸炎(CMV)は、サイトメガロというウイルスが腸粘膜に感染し、炎症を起こす病気です。このウイルスに、日本人の60~90%が幼少期に感染しているといわれます。

このウイルスが腸炎を起こす原因ははっきりしません。免疫力が低下してウイルスが活性化した、あるいは感染したことがない人が新たに感染したなどが考えられます。

症状としては、強い腹痛、下痢、血便です。症状が強いときには、CMVを疑ってCTで腸の状態を検査しましょう。

診断は、大腸内視鏡検査を行い、炎症の部位から組織を採取し、顕微鏡でサイトメガロウイルスの存在を調べて確定します。

自然に治ることはごくまれです。3種類の抗ウイルス薬の点滴により治療します。通常2週間以上の入院が必要です。その後、症状改善や炎症の改善、ウイルスの排除などを確認しながら治療します。

食事の摂取で症状が悪化する場合や、腸の病変が大きい場合は、腸を休めるために食事を中止し、点滴治療を行うことがあります。

サイトメガロウイルス腸炎では、腸の炎症を起こしている場所に穴が開き(穿孔)、大量出血を起こすことがあります。この場合、緊急の処置が必要になる可能性もあり、入院して治療する必要が生じます。