膝とくるぶしの間を下腿といいます。ここに生じた皮膚潰瘍が「下腿潰瘍」です。

原因の多くは、静脈血のうっ滞によって起こる静脈瘤です。静脈瘤は、長年立ち仕事を続けた人や出産後の女性に多くみられます。

下腿潰瘍が、リンパ浮腫、膠原病、血管炎、外傷、細菌感染、悪性腫瘍などが原因となって引き起こされることもまれにあります。

静脈瘤の治療は、弾性包帯や弾性ストッキングで圧迫する方法が有効です。下肢のむくみ、痛み、こむら返りなどの症状が強い場合は、手術が行われることもあります。

立った状態で静脈を診て、静脈瘤の有無やその性状を調べます。

超音波(カラードップラーエコー)検査により、静脈の流れを診ます。

血栓症が疑われる場合は、造影剤を使ったCT検査が行われます。

静脈の異常がない場合は、血液検査や潰瘍部の皮膚生検でその原因を調べます。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 弾性ストッキングのサイズの選択や着脱の方法について、十分な説明を受けましょう。
  • 弾性ストッキングは圧迫力が強く、最初はきつくて簡単にはけません。台所用のゴム手袋を使うと履きやすくなります。着用時に用いる補助器具を利用するのもよいでしょう。
  • 日中も横になり、足を高くして安静をとる時間を設けましょう。いすに座るより、床に座り、足を投げ出すのが望ましい姿勢です。
  • 下腿潰瘍の部位を消毒薬で消毒すると、皮膚炎や潰瘍を増悪させるのでやめましょう。低圧のシャワーで洗浄しましょう。