黒色腫瘍は黒色、あるいは黒っぽい色をしたしこり(結節)やシミ(色素斑)がみられる、異常な細胞が増殖する病気の総称です。

黒色調は多くの場合、メラニン色素の増加によるものです。そのほか、出血後のヘモグロビン由来の色素(ヘモジデリン)の沈着、異物などの場合もあります。

黒色腫瘍には、皮膚悪性腫瘍、皮膚良性腫瘍、血腫、血管腫など多くの病気が含まれます。最もよくみられるのは、良性の脂漏性角化症と色素性母斑です。

黒色腫瘍の中で最も悪性度が高いものに、悪性黒色腫(メラノーマ)と基底細胞がんがあります。悪性黒色腫は転移しやすく、予後も不良です。基底細胞がんは、高齢者の顔面によく発症し、進行はゆるやかで離れた部位に転移することはまれですが、周囲に広がって組織を破壊していきます。

視診だけで診断がつかない場合、特に悪性腫瘍が疑われるときには、確定診断あるいは治療を目的に、患部の一部の組織を切り取って調べる生検や全切除が検討されます。

悪性の黒色腫瘍の場合、一般に画像検査を行って腫瘍の転移の有無を調べます。治療は、外科的治療、化学療法、放射線療法などが選択されます。

基底細胞がんや皮膚の表皮にできるボーエン病は、病変部から5mm程度離して切除すれば完治が見込まれます。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 黒色腫瘍が良性と診断された場合でも、病変部が大きくなるなど変化があれば受診してください。
  • 外科的治療の場合は術後の安静や経過観察のために、大出血がある場合は止血処置や輸血などのために、入院が必要となることがあります。