血管腫とは、血管内皮細胞が増殖した腫瘍であり、脈管奇形/脈管形成異常とは、動脈や静脈、毛細血管やリンパ管の形成異常のために、さまざまな症候を来たす疾患です。 慎重な経過観察で差しつかえないものから、発見した時点で緊急の対応が必要なものまでさまざまです。すぐに専門医の診断を受けましょう。
鮮やかな赤色の隆起を生じたり、顔に赤あざがみられたり、と、症状もタイプによってさまざまです。
乳児血管腫は従来イチゴ状血管腫と呼ばれたものと同じものを指しますが、皮下に存在する場合は、通常の皮膚色、あるいは表面が青色調となって観察されます。
乳児血管腫の場合、その発生部位や大きさによっては、視力障害や気道閉塞の原因になったり、しわやたるみを残したりします。
房状血管腫やカポジ肉腫様血管内皮腫と呼ばれるタイプでは、血小板や凝固因子が減少して出血が止まりにくくなる、カサバッハ・メリット現象が起こることがあります。早急な治療が必要です。
毛細血管奇形/毛細血管形成異常(Port-wine母斑)で、隆起をしていない場合は、色素レーザー治療がよい成績を上げています。
静脈奇形/静脈形成異常が四肢にある場合は、うっ血から血栓性静脈炎や静脈結石形成を起こし、またうっ血を来たすという悪循環を繰り返します。そのため予防に、サポーターなどによる持続的圧迫を行います。
動静脈奇形は動脈と静脈が毛細血管を介さずに交通する奇形で、塞栓術と外科的切除、再建術を行いますが、治療が難しい場合もあります。
大きな嚢腫状のリンパ奇形/リンパ管形成異常については、リンパ液吸引後に、薬剤を注入する硬化療法を行います。