先天性代謝疾患の主なものに、糖原病(グリコーゲン病)、成人発症Ⅱ型シトルリン血症、先天性脂質代謝異常症、ポルフィリン症があります。

糖原病(グリコーゲン病)は、グリコーゲンの代謝酵素が欠損し、肝臓や筋に大量にグリコーゲンがたまります。低血糖を起こしやすく成長障害も生じます。

成人発症Ⅱ型シトルリン血症は細胞質へのアスパラギン酸の輸送が障害され、尿素の合成、蛋白の合成、糖代謝が機能しません。炭水化物を大量に摂取すると意識障害を起こします。

先天性脂質代謝異常症は、脂質がライソゾームという部位に大量に蓄積します。肝腫大、脾腫、骨や肺、神経症状などを起こします。

ポルフィリン症はヘモグロビンなどに含まれる色素ヘムの合成酵素に欠け、日光に当たると皮膚障害を起こします。

糖原病(グリコーゲン病)の場合、小児期は知能障害を招く低血糖を予防します。成人期は腎不全や肝がんに注意します。血糖維持のため、高炭水化物を何度にも分けて少量ずつ食べます。

成人発症Ⅱ型シトルリン血症の場合は早期発見が大事です。症状が出ない代償期は、カロリー比で蛋白19%、脂質46%、炭水化物35%の低糖質食にします。

先天性脂質代謝異常症の場合は、さまざまな病型があるので、入院して病型や重症度などを調べ、それに応じた治療をします。

ポルフィリン症の場合は、病型や重症度を診断した後、症状出現の誘因を防ぎ、光を遮ります。特に飲酒、月経、薬物服用、飢餓状態、ストレスは、ヘムの需要が高まり、症状が出やすくなるので注意が必要です。