肝臓にみられるがんのうち、別の臓器に発生したがんの細胞が、リンパや血液の流れに乗って肝臓に移動し、そこで大きくなったものを「転移性肝がん」と呼びます。

原因となるがんの診断がなされていることもありますが、肝臓への転移が先に見つかる、あるいは原因となるがんがわからない状態で、転移性肝がんと診断されることもあります。

転移の原因となるがんの種類は、胃がん、大腸がん、膵臓がん、胆のうがんなどの消化器系のがんや、乳がん、肺がん、卵巣がん、腎細胞がん、頭頸部のがんなどがあげられます。


(出典:独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター)

必要な検査として、がんの広がりや性質を調べるための画像検査(X線、超音波、CT、MRIなど)に加えて、血液検査による腫瘍マーカー検査や、がんの組織の一部を採り、どの臓器や組織から転移したがんであるかを調べるための病理検査などを行うこともあります。

治療法にはがんの部分を切除する手術治療や切除せずに抗がん剤を投与する薬物療法がありますが、多くの症例では肝臓に多数の病巣があったり、別の部位への転移が同時に認められたりするため抗がん剤治療が主流となります。また、場合によっては肝臓の動脈に抗がん剤をカテーテルという細い管を通して注入する動注療法(どうちゅうりょうほう)が選択されることもあります。原因となるがんの種類や病理診断の結果、これまでの治療の内容や効果によって、使用される抗がん剤の種類、副作用の起こり方が異なります。

できるだけ早く原発巣(がんが最初にできた場所)をみつけることが重要ですので、短期間内に多くの検査を受けていただく必要があります。また、原発巣が確定したら直ちに治療が開始になることがほとんどです。そのため体にかかる負担も大きくなりますのですみやかに入院していただいて検査を受けることをお勧めします。

また、高血圧、糖尿病などの慢性疾患をお持ちの方はそれらの疾患のコントロールも必要になりますので、現在の服薬状況や疾患の重症度などを担当の先生にお伝えいただき、適切な治療を継続してください。不明な点がある場合にはかかりつけの医師に相談しましょう。

食事は栄養のバランスを第一に考え、気持ちよく食べることが大切です。過度の飲酒は肝機能を悪くすることがあるので避けることが大事です。喫煙も呼吸機能に影響を与えますので、禁煙することをお勧めします。

運動は、体力の回復に合わせて散歩などから始め、少しずつ運動量をふやしていきます。ただし、激しい運動は担当医に相談してからにしましょう。


(出典:独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター)