歯牙破折・脱臼は、強い衝撃で歯が欠けたり抜けたりすることです。転倒やスポーツ事故、交通事故、殴打などによって起こります。また、まれに、全身麻酔時の喉頭鏡による偶発的な事故によっても生じることがあります。

単独で発生する場合もありますが、顎骨骨折が合併する場合もあります。特に破折しやすいのは、乳歯、永久歯ともに上顎前歯で、中切歯に多く見られます。

脱落した歯は、乾燥しないように、専用の保存液、なければ冷たい牛乳に漬けて医療機関に持参します。

歯牙破折・脱臼いずれの場合も早く適切な治療を行うことが大事です。また、1年間くらいの長期の予後観察も重要です。

歯牙破折には、歯茎よりも上側に露出している歯冠が破折する場合と、歯冠より下の歯根が破折する場合があり、さらにこの両方が合併した歯冠・歯根破折があります。

破折が歯髄(神経と呼ばれる部分)に達していない場合は、歯冠形成の修復や根管治療の保存療法を行い、歯髄に達している場合は歯髄処理を行います。

歯根破折では、破折の部位により保存療法が可能な場合と不可能な場合があります。保存療法が不可能な場合は抜歯することがあります。

脱臼の場合は、歯をもとの位置に戻し、固定する治療が行われます。この治療の対象になるのは基本的には永久歯です。

治療をしたら、1~3カ月後にX線検査などで予後を観察します。その後少なくとも1年間は経過を観察する必要があります。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • スポーツをするときは、外傷歯の予防にマウスガードを使用しましょう。また、再度傷を負わないように、受傷場所の環境や設備を整えることが大事です。