ケアのポイント ©エルゼビア・ジャパン

がん薬物療法中の患者の口腔ケア

担当医
●抗がん剤の治療を受けられる方へ~お口に関連する治療合併症について~
どんな症状ですか?
  • お口の中は、とても細菌の多い部位です。そのため抗がん剤の治療のような大きな治療を行うとき、お口の中の細菌が様々な悪影響を及ぼすことが知られています。
  • 抗がん剤の治療に伴って生じる 口腔内合併症
    口腔粘膜炎:口の中の粘膜が荒れて、痛みます。
    骨髄抑制期の歯性感染:免疫力が低下した時期に、口内細菌が感染を起こやすくなります。
    味覚異常:味の感じ方が変化したり、味が分からなくなり、食事がおいしく食べられなくなります。
    口腔乾燥症:唾液の分泌が低下し、口内が乾燥しネバネバになります。
今後の検査などの説明

この副作用を予防するために

  • 抗がん剤治療によって起こるお口の合併症は、それ自体がつらい症状を出すだけでなく、低栄養や脱水を引き起こして直接的・間接的にがん治療に悪影響を与えることが知られています。
  • がん治療中のお口の衛生状態・健康状態は、このような口腔合併症の 発生率・重症度に関連することが研究により明らかになっており、とくに治療が始まる前から お口の状態を良好にしておくことが重要です。
  • お口の合併症は、大事ながん治療の妨げになります。ぜひがん治療の開始前までにお口の中を良い状態にしてから、 ご治療にのぞんで下さい。
更新日:2022/11/28
 
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がん薬物療法中の患者の口腔ケア

担当医
●頭頸部放射線治療を受けられる方へ~お口に関連する治療合併症について~
どんな症状ですか?
  • お口の中の特徴 お口の中は、とても細菌の多い部位です。そのため頭頸部放射線治療のようなお口の周辺の治療を行うとき、お口の中の細菌が様々な悪影響を及ぼすことが知られています。
  • 急性障害(治療中に起こるお口の障害)
    放射線性口腔粘膜炎:口の中の粘膜が荒れてしまいます。
    放射線性口腔乾燥症:唾液の分泌が低下して、口の中がひどく乾燥します。治療が終わった後も、乾燥は長く続きます。
    口腔感染症:口内の細菌が感染を起こします。
    味覚異常:味の感じ方が変化したり、味が分からなくなります。
  • 晩期障害(治療が終わってから起こるお口の障害)
    放射線性骨髄炎、放射線性顎骨壊死:放射線があたった部位の顎骨が壊死を起こすことがあります。 抜歯をきっかけに発症することが多いです。
    放射線性う蝕:虫歯が非常に出来やすくなり、歯を失う原因になります。
今後の検査などの説明

この副作用を予防するために

  • 急性障害は避けられないものが多いですが、がん治療が終われば基本的に回復します。そこで治療中は口腔のケア(口の中をきれいにし、細菌をできるだけ減らしておく)によって症状を和らげ、悪化を防ぐことが重要になります。
  • 晩期障害は起こってしまうと治療に苦労するものが多いため、起こらないように予防することが重要です。そのためには放射線治療の開始前に悪い歯を抜歯しておくなどの、放射線性顎骨壊死のリスク軽減の処置が必要になります。
  • お口の合併症は、大事ながん治療の妨げになります。ぜひ治療の 開始前までにお口の中を良い状態にして、がん治療にのぞんで下さい。
更新日:2022/11/28
 
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がん薬物療法中の患者の口腔ケア

担当医
●ゾメタ、ランマークのご使用を予定されている方へ~副作用「あごの骨壊死」について~
どんな症状ですか?
  • ゾメタ、ランマークとは:
    骨を丈夫にするための薬剤です。骨を溶かそうとする細胞(破骨細胞)の働きを弱め、骨転移に伴う問題(高カルシウム血症、痛み、骨折など)を予防したり、症状を和らげたり、進行を抑えることができます。
  • あごの骨壊死とは:
    ゾメタやランマークによる副作用の一つです。あごに炎症が起こり、進行した結果、骨の破壊を起こしてしまいます。ひどい場合には、あごの骨が直接見えてしまうこともあります。
  • あごの骨壊死の主な症状:
    ・歯肉やあごの腫れや痛み
    ・下あごがしびれ
    ・口の中に膿が出る(苦い味がする)
  • この副作用が起きるのは100人に1~2人程度と、決して多くはありませんが、起こってしまうと痛みのために食事やおしゃべりがしづらくなるだけでなく、大事ながん治療の妨げともなります。また骨壊死は治りづらいため、治療に長い期間が必要となります。
今後の検査などの説明

この副作用を予防するために

  • 1. お口の中を清潔に保ちましょう。
    お口の細菌を減らすことで、骨壊死のリスクを減らすことができます。
  • 2. 口の中に気になる症状が出たら、早めに歯科を受診しましょう。また症状がなくても、定期的な歯科チェックを受けましょう。
    骨壊死は予防が重要です。また早期であれば比較的治りやすいと言われています。
  • 3. 治療開始後は、抜歯をしないよう気をつけましょう。骨壊死は半数の方が「抜歯」をきっかけに発症しています。
更新日:2022/11/28