内ヘルニア・横隔膜ヘルニアは、腹部のくぼみや裂け目に腸が入り込んで脱腸(ヘルニア)を起こしている状態をいいます。まれに腸閉塞の原因になります。

症状としては、腹痛やお腹の張り、ガスが排出しないなどの腸閉塞の症状がみられます。脱腸がひどくなると、腸への血流が悪くなり(血流障害)、腸が腐ったり(腸管壊死)、腸に穴が開いたり(腸管穿孔)し、腹膜炎を起こして命の危険にさらされます。

食道裂孔ヘルニアは、食道と胃の境目で、食道が横隔膜を貫いている食道裂孔がゆるくなり、胃の上部が胸のほうに滑り出ている状態をいいます。

食道裂孔ヘルニアでは、胃酸や食物が逆流しやすくなり食道の粘膜がただれたり、口にまで逆流したりすることがあります。

内ヘルニア・横隔膜ヘルニアの場合は手術が必要になります。ヘルニアを起こしている腸を元通りに引き出し、はまり込んでいた穴を大きく開く、もしくは塞ぎます。治療中は、食事も飲水もできません。

食道裂孔ヘルニアの場合は、症状が重い場合は治療が必要です。まず、プロトンポンプ阻害薬で胃酸の分泌を抑えます。薬剤でよくならないときは腹腔鏡手術を行うこともあります。ゆるんだ裂孔を修復し、胃の上部をまきつけて逆流しないようにします。

食道裂孔ヘルニアの場合、生活習慣を変える必要があります。禁酒・節酒を心がけ、高脂肪食や大食、早食いを改めて肥満解消し、適度な運動を心がけましょう。前かがみになる姿勢は避け、重いものを持つのは控え、腹部をきつく締めるような服装もやめましょう。