針刺し曝露事故とは、注射をしたあとに注射針を誤って刺してしまいB型肝炎(HBV)やC型肝炎(HCV)、あるいはヒト免疫不全ウイルス(HIV)などの血液や体液を浴びる事故です。事故に関しては、医療機関ごとに感染事故対策マニュアルが用意されています。それにしたがって診察を受けましょう。

事故にあった場合、事故に遭った人および注射をした患者さんに感染症がないかを調べます。その際、それぞれの病歴ならびにHBV、HCV、HIVなどの採血結果を確認する必要があります。

針刺し暴露事故による感染リスクがもっとも高いのはB型肝炎です。

注射をした患者さんがHBV、HCV、HIVなどの感染者であった場合、感染を防ぐ目的で治療を受ける必要があります。また、時間が経ってから発症することがあるので、定期的に受診しましょう。

B型肝炎の場合は、24時間以内、遅くとも48時間以内に、医師からの説明をよく受けたうえで同意し、高力価抗HBsヒト免疫グロブリンとHBワクチンを接種します。HBワクチンは曝露したとき、1カ月後、4~6カ月後を1シリーズとして、計3回投与します。

C型肝炎の場合は、感染防御できるワクチンは今のところありません。HCV-RNA、HCV抗体、ならびに肝機能検査を6カ月から1年の間行い、経過観察し、もし感染がはっきりしたら抗ウイルス治療を行います。

ヒト免疫不全ウイルスの場合は、針事故で起きるリスクは0.3%程度です。曝露したら1~2時間以内に抗HIV 薬をできれば2剤以上、4週間継続して予防内服します。さらに6カ月間、経過観察します。なお、胎児に対する安全性は今のところ確立していません。