甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの分泌が不足する病気です。先天性と後天性に分類されます。

先天性の発症率は3,000~4,000人中1人で、原因は甲状腺形成異常が約85%、甲状腺ホルモン合成障害が約15%とされます。乳幼児の発達には甲状腺ホルモンが重要です。現在、新生児のマススクリーニング検査により、その補充を行い、予防を行っています。

後天性の場合は、原因の一つが思春期とそれ以降に多い慢性甲状腺炎です。甲状腺に対する自己抗体により炎症が起きて甲状腺機能に異常が生じます。20%に潜在性甲状腺機能低下症、30%に甲状腺機能低下症が発症するとされます。

後天性のもう一つの原因となる疾患は比較的低年齢にみられる自己免疫性萎縮性甲状腺炎です。永続的に甲状腺ホルモンの補充が必要な疾患です。

治療は甲状腺ホルモンの補充です。

先天性の場合は、開始して1、2、4週に甲状腺機能検査を行い、内服量を調整します。機能が安定した後は、生後6カ月までは1~2カ月ごと、3歳までは3~4カ月ごと、成人に達するまでは6~12カ月ごとに調整します。薬の内服は一生続きます。

後天性の場合は、内服を少量から始め、2週ごとに増量し、同時に甲状腺機能検査を行います。機能が安定すれば3~6カ月ごとの検査になります。慢性甲状腺炎の場合、一過性に、甲状腺機能が亢進することがあります。動悸や発汗過多などがみられたらすぐに受診しましょう。薬を一時的に中断する必要があります。

薬は1~2日忘れても大きな影響はありませんが、できるだけ忘れずに飲みましょう。内服後30分以内に嘔吐した場合は再度内服しましょう。