自閉症スペクトラム障害は生まれつきの発達障害(神経発達症)の一つです。自分の身の回りに起きている出来事のとらえ方、感じ方、認識の仕方が異なり、周りの人とうまくコミュニケーションがとれません。50人に1人の割合で発症するといわれています。

原因は先天的な脳の発達の遅れやアンバランスです。遺伝が強く影響し、いくつかの遺伝子の異常が示唆されています。

育て方は病気の原因にはなりませんが、誤った対応が積み重なると二次的な精神障害を引き起こすことがあります。

主な症状は、コミュニケーションの不得手、言葉の遅れ(意味のないおしゃべり、オウム返しが多い)、興味のかたよりや決まったパターンへの固執などです。その他、手先が不器用、感覚の過敏と鈍麻が入り混じる、多動、衝動的、不注意などがあげられます。

お子さんの日常の様子や発達の過程などから診断します。発達検査や知能検査を行うこともあります。耳の聞こえが不確かなときは聴力検査を行い、神経疾患の可能性があるときは血液検査や脳の画像検査などを行います。

医学的な治療で完全に治すことはできません。本人がよりよい生活を送れるように、周囲が病気を理解し、その子に応じた工夫をしましょう。保育園や幼稚園、学校などと協力し、できないことを無理にさせようとしないで、できることを少しずつ積み重ねて自信と意欲をもって経験していけるようにしましょう。

個別の症状には薬物療法を行うこともあります。