IgA腎症は、ろ過装置の役目をしている腎臓の糸球体に、IgAという抗体のたんぱく質が沈着している慢性の糸球体腎炎です。小児期に発症する慢性糸球体腎炎の中では一番頻度の高い病気です。

10~14歳で発症することが多く、男女差はみられません。

主な症状は、たんぱく尿と血尿です。

診断には、尿検査や血液検査だけでなく、腎臓の組織の一部を採取して顕微鏡で調べる腎生検が必要です。

治療を行わずに放置すると、徐々に進行して末期腎不全に至ることもあります。

軽症の場合の治療は、尿たんぱく減少を期待して、アンギオテンシン変換酵素阻害薬(降圧剤)を用いる非免疫抑制療法が行われます。

重症の場合は、ステロイド薬や免疫抑制薬を用いる多剤併用療法が行われます。

治療は原則2年間行います。その間も、定期的な尿検査や血液検査が必要です。

2年間の治療で、血尿、たんぱく尿が完全に消失した場合は、治療薬を減量あるいは中止し、再発がないか定期的に経過観察します。血尿のみが残る場合は、免疫抑制療法を中止し、非免疫抑制療法に切り替えることもあります。

免疫抑制療法を行っている場合は、麻疹や水痘などの流行性ウイルス感染症に気を付けてください。これらにかかったときは、免疫抑制薬の服用を中止することがあります。

ステロイド薬のプレドニンを服用中に頭痛、眼痛、骨痛などが現れた場合は、医師に相談してください。

アンギオテンシン変換阻害薬を服用中は、脱水症状に気を付けてください。嘔吐や下痢が強い場合は薬を中止することがあります。