ファロー四徴症(しちょうしょう)は、皮膚や爪が紫色になるチアノーゼが伴う先天性心疾患の代表的な病気です。先天性心疾患の3~5%を占めます。

四徴とは、右心室と左心室の間の心室に大きな欠損孔がみられる「心室中隔欠損」、右室流出路から肺動脈が狭い「肺動脈狭窄」、大動脈が右心室と左心室にまたがっている「大動脈騎乗」、右心室の壁が厚い「右室肥大」の形態的な異常をいいます。

形態異常により、全身に送られる血液中に酸素濃度の低い静脈血が増えるので、チアノーゼを起こします。

X線検査、心臓超音波検査、心電図などで診断します。

生後6カ月以降で心内修復術を行うことが多く、その後の経過はおおむね良好です。ただし、急に強いチアノーゼが出現することがあります。これをスペル(無酸素発作)いい、手術や薬の内服が必要になります。

チアノーゼが強かったり、スペルを繰り返したりするときは、生後6カ月前でも肺へ流れる血液を増やすために交通路をつくるBTシャント手術を緊急に行うことがあります。

術後は日常生活に支障はありませんが、多くの場合、運動制限が必要になります。また、手術を行っても成人してから、不整脈が出現したり、肺動脈弁逆流に起因する右心室拡大や心機能低下、不整脈による心不全症状が出現し、肺動脈弁置換術が必要となることがあります。

将来妊娠出産は可能です。しかし、そのときの血行動態や心臓の動きなどによっては、妊娠前に手術が必要な場合や妊娠そのものが無理なこともあります。

生涯、定期的に心電図や心エコー、心臓MRIなどの検査を行い、病気をフォローしていきます。